SteamでAI生成ゲームを売る方法|AI開示の書き方と売上への影響

SteamでAI生成のゲームを売るには、Content Surveyという申告フォームで生成AIの使い方を開示する必要があります。2026年1月の改定で、開示の対象はプレイヤーが触れるアートや音声、文章などに絞られました。コーディング補助のような開発効率化のためのAI利用は申告しなくてよいと明確になっています。
この記事ではSteamの生成AIルールの中身と、開示が必要なもの・不要なものの例、フォームの記入の考え方をまとめました。開示が売上にどう影響するかの調査データ、Steam Directの費用と手数料、登録から発売までの手順も順に扱います。
内容は2026年10月時点でSteamworksの公式ドキュメントを確認したものです。ルールは更新されることがあるので、申請の前に公式ページも確認してください。
この記事の目次
Steamの生成AIルールの基本
Steamは2024年1月から、生成AIを使ったゲームの販売を正式に受け付けています。条件は、Content Surveyの「生成AIコンテンツ」の欄で、どこにどうAIを使ったかを申告することです。申告した内容は発売前の審査に使われ、多くはストアページにも表示されます。
開示の2つの区分
Content Surveyでは、AIの使い方を2つの区分に分けて申告します。
事前生成(Pre-Generated)
開発中にAIツールで作り、ゲームに入れて出荷するコンテンツです。AIで描いたキャラクター画像、生成した効果音やBGM、AIに書かせたセリフなどが当てはまります。
ライブ生成(Live-Generated)
ゲームの実行中にAIが作るコンテンツです。プレイヤーの入力にAIが返事をする会話ゲームや、遊ぶたびにAIが画像を描くゲームが当てはまります。
両方の区分に当てはまるゲームも珍しくありません。会話はAIがその場で作り、立ち絵は開発中にAIで描いたという作品なら、2つの区分の両方に記入します。
事前生成のコンテンツも、通常のコンテンツと同じ基準で審査されます。Steamの配信契約では、違法なものや他人の権利を侵害するものを含めないこと、宣伝の内容とゲームの中身を一致させることを開発者が約束する決まりです。AIで作ったものも、この約束を守っているかが確認されます。
2026年1月に明確になったこと
2026年1月、Valveは開示の基準をはっきりさせました。最近のゲーム開発環境には、AIを使った機能が最初から組み込まれていることが多くなっています。Content Surveyの説明では、こうしたツールによる効率化はこの欄の対象ではないと書かれています。
対象になるのは、ゲームと一緒に出荷されてプレイヤーが触れるコンテンツです。公式の説明ではアートワーク・サウンド・ナラティブ・ローカライズが例に挙がっています。コードの補完やバグ探しにAIを使っても、それだけなら開示はいりません。

開示が必要なもの・不要なものの例
迷いやすい例を表にまとめました。判断の軸は、AIで作ったものがゲームの中やストアで、そのままプレイヤーの目や耳に届くかどうかです。
| 使い方 | 開示 | 理由 |
|---|---|---|
| キャラクターや背景の画像をAIで生成した | 必要 | プレイヤーが見るアートワーク |
| BGMや効果音、ボイスをAIで生成した | 必要 | プレイヤーが聞くサウンド |
| セリフやアイテム説明をAIに書かせた | 必要 | プレイヤーが読むテキスト |
| 英語版の翻訳をAIで作った | 必要 | 公式の例にローカライズが含まれる |
| 遊んでいる最中にAIが会話文を作る | 必要(ライブ生成) | 実行中に生成するコンテンツ |
| Claude CodeやCodexでプログラムを書いた | 不要 | 開発効率化のためのツール利用 |
| エンジンに組み込まれたAI機能で作業を速めた | 不要 | 同上 |
| AIで出したアイデアを参考に人が絵を描いた | 状況による | 成果物がAI生成物かどうかで判断 |
最後の行のように判断が分かれるものは、迷ったら開示しておくのが安全です。申告していないAI生成物が後から見つかると、ストアページの修正や販売の一時停止につながるおそれがあります。
補足
ストアのカプセル画像やトレーラーなど、宣伝用の素材にAIを使った場合の扱いは判断が分かれます。プレイヤーが目にするものなので、記入欄で触れておけば誤解を避けやすいでしょう。

Content Surveyの記入の考え方
Content SurveyはSteamworksの管理画面で、ストアページとビルドを審査に出す前に記入します。全体は一般的なコンテンツ・成人向けコンテンツ・生成AIコンテンツの3つの部分に分かれていて、すべて埋めないと審査に出せません。
事前生成の書き方
AIを使った部分を、種類ごとに具体的に書きます。「AIを使用しています」の一文だけでは、審査する側にもプレイヤーにも中身が伝わりません。どの素材に、どの程度使ったか、人がどこまで手を加えたかを書くのがコツです。
記入例を示します。英語圏のプレイヤーも読むので、英語で書くか英語と日本語を併記すると親切です。
- Some background illustrations were generated with AI image tools and then retouched by hand.(背景イラストの一部はAI画像生成ツールで作り、手作業で修正しました)
- Item descriptions were drafted with an AI text tool and edited by the developer.(アイテム説明文はAIで下書きし、開発者が編集しました)
- Character designs, music and the main story were created without AI.(キャラクターデザイン、音楽、メインストーリーはAIを使わずに制作しました)
使っていない部分を明記しておくと、プレイヤーが判断しやすくなります。AIの使用に厳しい目を向ける人にも、どこまでが手作りなのかが伝わります。
ライブ生成の書き方
ライブ生成の場合は、事前生成と同じ内容に加えて、AIが違法なコンテンツを作らないための仕組み(ガードレール)を説明する必要があります。たとえば次のような内容です。
- 使っているAIサービスと、その提供元の安全フィルターを有効にしていること
- 入力と出力に禁止語のフィルターをかけていること
- AIに渡す指示文で、生成してよい話題の範囲を決めていること
- 問題のある出力をプレイヤーが報告できること
Steamはライブ生成のゲームについて、プレイヤーがSteamオーバーレイから違法なコンテンツを報告できる仕組みを用意しています。ゲーム側でも報告を受けたときの対応を決めておくと、審査で説明しやすくなります。
日本語と英語で書くときの注意
日本語版と英語版で書く内容をそろえておくことが大切です。片方の言語にだけAIの使用を書くと、もう片方の言語で読んだプレイヤーから「隠していた」と受け取られかねません。英語に自信がない場合は、短い文を箇条書きのように並べるだけでも十分に伝わります。翻訳にAIを使ったなら、その事実も開示の対象です。
ストアページでの表示
申告した内容の多くは、ストアページの「AI生成コンテンツの開示」の欄に表示されます。プレイヤーは購入前にこの欄を読めます。審査用の書類というより、ゲームの説明文の一部だと考えて書くのがよいでしょう。発売後に申告内容を変えたい場合、一部の項目はSteamサポートに連絡しないと編集できません。
ライブ生成で守ること
ゲーム中にAIが文章や画像を作るタイプは、事前生成より条件が厳しくなっています。出す前に次の3点を確認しておきましょう。
- ガードレールを用意する違法なコンテンツを生成しないための対策を入れ、Content Surveyで説明します。フィルターの有無だけでなく、どう動くかまで書くと審査する側に伝わりやすくなります。
- 成人向けの性的コンテンツは出せない成人向けの性的コンテンツをライブ生成するゲームは、現在Steamでは扱わない方針です。Valveは法的なリスクと購入者へのリスクが大きいことを理由に挙げています。
- AIの利用料をどう回収するか決める外部のAIサービスにつなぐと、使われるたびに費用がかかります。Steamの案内では、ゲーム本体の価格に含める、ゲーム内課金にする、サブスクリプションにする、無制限に使えるDLCを売るといった4つの方法です。
注意
課金はSteamが対応している決済方法で受け取る必要があります。外部サイトでAPIの利用権を売る形は避けてください。

AI開示は売上に影響するか
開示すると売れなくなるのではないか、という不安を持つ人は多いはずです。公開されている調査をいくつか見てみます。
レビュー数が少なめという分析
Game OracleのRoss Burton氏は、2025年1月から10月に発売された有料作品9,879本を分析しました。このうち17.9%がAIの使用を開示していました。レビュー数の中央値は開示ありが4件、開示なしが7件です。統計モデルでは、開示によって発売1か月のレビュー数が約53%少なくなると推計しています。
ただし本人もこの結果の頑健性は中程度としています。開発者の技術力や宣伝費の差は取り除けておらず、レビュー数がそのまま売上を表すわけでもありません。またこの期間は2026年1月の改定前で、ローカライズや宣伝素材にAIを使っただけの作品も開示に含まれていました。
開示作品の売上分布
Totally Human Mediaの2025年11月の集計では、AI使用を開示したSteamのゲームは10,258本で、全体の約8%でした。推定売上が1万ドル未満の作品が約93%を占めます。一方で1,000万ドルを超えた作品も12本あり、開示があっても大きく売れる作品は存在します。
プレイヤーの受け止め方
GameDiscoverCoが約3,800人のSteamユーザーに聞いた調査では、43%がAIを使ったゲームの購入に抵抗がないと答えました。否定的な回答は31.4%で、そのうち絶対に買わないという人は8.1%です。自由回答では、プログラミングへの利用は受け入れられやすく、絵や文章など創作部分への利用は反発を受けやすい傾向が見られました。英語での調査なので、欧米のユーザーの意見が中心である点は割り引いて読む必要があります。
開示の影響を小さくする工夫
開示そのものは避けられませんが、プレイヤーの受け止め方は書き方と見せ方で変わります。たとえばストアのスクリーンショットやトレーラーでは、人が手で作った部分がよくわかる場面を選びます。開発の過程を短い動画や日記で公開しておけば、手間をかけて作った作品だと伝わるはずです。
開示欄の文章も、使っていない部分まで書くほうが安心感を与えます。AIで作った素材が多い作品ほど、遊びの仕組みや難易度の調整など、人が考えた部分を説明文で前に出すとよいでしょう。
ポイント
データから言えるのは、開示が不利に働く可能性はあるものの、売れるかどうかを決める要因の1つにすぎないということです。どこにAIを使い、どこを人が作ったかを丁寧に書くことで、プレイヤーの抵抗感を和らげられます。
開示を書く前に整理しておくこと
記入欄に向かってから思い出そうとすると、使ったツールや素材を書き漏らしやすくなります。制作中から次の4点を記録しておくと、Content Surveyもストアページの説明もすぐに書けます。
| 記録すること | 中身の例 |
|---|---|
| 使ったAIツールとプラン | 画像生成、音楽生成、文章生成など、サービス名と契約していたプラン |
| 素材ごとのAIの使い方 | 背景は生成した画像を加工、キャラクターは手描きなど |
| 人が手を加えた範囲 | 色の調整、描き足し、文章の書き直しなど |
| 商用利用の可否 | 各ツールの規約で販売してよいか、クレジット表記が必要か |
商用利用の可否はSteamの開示とは別の話ですが、販売の前提になります。無料プランでは商用利用を認めていないサービスもあるので、生成した時点のプランで判断してください。素材づくりに使えるツールはゲーム素材をAIで作る方法で紹介しています。
Steam Directの費用と手数料
Steamでゲームを売るためにかかるお金を整理します。金額は2026年10月時点の公式情報です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| Steam Direct登録料 | 1作品ごとに100ドル。返金はされない |
| 登録料が戻る条件 | 調整後の総収益が1,000ドルに達した後の支払いで100ドルが戻る |
| 販売手数料 | 売上の30%。1作品の累計売上が1,000万ドルを超えた部分は25%、5,000万ドルを超えた部分は20% |
| 発売までの待機期間 | 登録料の支払いから21日間 |
| 近日登場ページの公開期間 | 発売前に2週間以上 |
手数料の段階は、超えた部分にだけ低い率がかかる仕組みです。個人の作品なら30%で見積もっておけば問題ありません。売上1万円あたりの手取りは約7,000円が目安です。実際には消費税などの税金や返金が差し引かれるので、これより少なくなります。ほかの販売先との比較はAIゲームで稼ぐ方法にまとめています。
Steamでリリースするまでの手順
アカウントの登録から発売まで、最短でも1か月ほど見ておく必要があります。全体の流れは次のとおりです。
- Steamworksに登録するSteamのアカウントでパートナー登録をし、秘密保持契約と配信契約に同意します。
- 税務情報と銀行口座を登録する税務の質問票に答え、売上を受け取る銀行口座を登録します。口座の名義は、登録した名前と同じでなければいけません。本人確認の書類もこの段階で提出します。
- 登録料を払うSteam Directの登録料100ドルを払うと、アプリIDが発行されます。この支払いの日が、発売までの21日間の待機期間の起点です。
- ストアページを作る説明文、スクリーンショット、トレーラー、カプセル画像を用意します。日本語と英語の両方があれば、海外のプレイヤーにも届きやすいでしょう。
- Content Surveyを記入する一般的なコンテンツ、成人向けコンテンツ、生成AIの3つの欄を埋めます。AIの使い方はこの記事の内容に沿って具体的に書きます。
- ストアページの審査を受ける審査は通常3〜5営業日です。公開したい日の7営業日以上前に提出するよう案内されています。
- 近日登場ページを公開する発売の2週間以上前に公開しておく決まりです。この期間にSNSや動画でウィッシュリスト登録を呼びかけます。
- ビルドの審査を受けて発売するゲーム本体の審査も3〜5営業日が目安です。承認されたら、発売ボタンを押して販売を始めます。
待機期間と近日登場ページの期間は並行して進められます。登録料を払ったらすぐにストアページの準備に取りかかり、審査の日数も逆算して発売日を決めると無駄がありません。発売日を先に宣伝してしまうと、審査で修正を求められたときに予定がずれるので注意してください。
ゲーム本体をまだ作っていない場合は、AIゲームの作り方完全ガイドで制作の流れを確認しておくと、Steamの手続きと並行して進めやすくなります。

よくある質問
Claude Codeでプログラムを全部書いたゲームは開示が必要ですか
プログラムをAIで書いただけなら、2026年1月の改定後の基準では開示の対象外です。ゲームに入っている画像や音声、文章をAIで作った場合は開示が必要になります。Claude Codeでの作り方はClaude Code・Codexでゲームを作る方法で紹介しています。
開示しないで販売するとどうなりますか
Content Surveyの申告はSteamで販売する条件の1つです。申告していないAI生成物が見つかった場合、ストアページの修正を求められたり、販売が止まったりするおそれがあります。迷う部分は開示しておくのが安全です。
発売後にAI素材を手描きに差し替えたら開示は外せますか
発売後は一部の項目を自分で編集できず、Steamサポートへの連絡が必要です。何をどう変えたかをまとめて伝え、テスターが確認できる方法も添えて依頼します。
AIで作った画像の著作権は問題になりませんか
Steamは権利を侵害するコンテンツを認めていないため、既存作品に似た画像は審査や発売後の申し立てで問題になります。日本での考え方はAIで作ったゲームの著作権と規約チェックリストで整理しています。
AIで作ったゲームは審査で落とされやすいですか
AIを使ったこと自体を理由に落とす仕組みにはなっていません。Steamの説明では、AIで作ったコンテンツも通常のコンテンツと同じ基準で審査されます。違法なものや権利を侵害するものがないか、宣伝の内容と中身が一致しているかが見られます。
登録料の100ドルは日本円でいくらですか
公式の表記は100米ドル、またはそれに相当する額です。円での金額は支払い時の為替で変わります。
まとめ
SteamではAI生成のゲームも販売できますが、プレイヤーが触れるアート・音声・文章・翻訳にAIを使った場合はContent Surveyでの開示が必須です。プログラムを書くためだけのAI利用は、2026年1月の改定で対象外と明確になりました。
開示が売上に与える影響を示すデータもありますが、決定的なものではありません。どこにAIを使い、どこを人が作ったかを具体的に書き、発売前からウィッシュリストを集めることに力を注ぎましょう。
この記事のまとめ
- 開示の区分は開発中に作る事前生成と、実行中に作るライブ生成の2つ
- 開発効率化のためのAI利用は開示不要、プレイヤーが触れるコンテンツは開示が必要
- ライブ生成はガードレールの説明が必須で、成人向けの性的コンテンツは不可
- 開示作品はレビュー数が少なめという分析がある一方、43%のユーザーは購入に抵抗がない
- 費用は1作品100ドル、手数料は30%、登録料の支払いから発売まで最短でも1か月ほど












