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立ち絵の差分をAIで作る方法【2026年版】枚数の決め方とエンジン別の組み込み

同じアニメ調の少女キャラクターが異なる表情で並ぶ立ち絵の差分

立ち絵の差分は、顔のパーツだけを別の透過PNGにして重ねると、枚数が足し算で済みます。表情6種類、服2着、口の開閉2段階の全身画像を丸ごと作る方式だと、枚数は掛け算で増える一方です。ティラノスクリプトの公式チュートリアルの例では、全部を画像にすると75ファイルが、パーツを組み合わせれば13ファイルになります。

この記事で分かること

  • 差分の枚数を、全体差分とパーツ方式で比べる計算例
  • 同じキャラクターを保つ3つの方法(画像編集型・参照画像型・LoRA)
  • 背景透過とキャンバスの統一、顔パーツの切り出し手順
  • Ren’Py・ティラノスクリプト・吉里吉里への組み込みと、目パチ・口パクに必要な差分の数

情報は2026年10月時点のものです。公式ドキュメントで確認できたことと、確認できなかったことは分けて書いています。生成サービスの商用利用条件は変わりやすいので、この記事では扱わず、確認の入り口だけを案内します。

この記事の目次
  1. 01立ち絵の差分づくりの5段階
  2. 02差分の枚数は掛け算か足し算かで決まる
    1. 差分の設計表と枚数の計算例
    2. 最初に決めておく5つのこと
  3. 03同じキャラクターを保つ3つの方法
    1. 画像編集型と参照画像型は公式に機能がある
    2. LoRAは手間が大きいので選び方に注意する
  4. 04表情だけを変えて顔パーツを切り出す手順
    1. 基準の1枚を作る
    2. 表情だけを変えた版を作る
    3. 顔のパーツを切り出して重ねる
  5. 05背景透過とキャンバスの統一
    1. 透過PNGの作り方
    2. キャンバスサイズと命名をそろえる
    3. 書き出した素材をスクリプトで確かめる
  6. 06ノベルゲームエンジンへの組み込み
    1. Ren’Pyではlayeredimageを使う
    2. ティラノスクリプトでは差分パーツの機能を使う
    3. 吉里吉里では前景レイヤーの数に気をつける
  7. 07目パチと口パクに必要な差分
  8. 08公開前の確認チェックリスト
  9. 09よくある質問
  10. 10まとめ
  11. 11次に読みたい記事

立ち絵の差分づくりの5段階

立ち絵は、同じキャラクターを何度も画面に出すための素材です。そのため1枚の出来より、後から表情を足しても崩れない作り方のほうが重要になります。AIで作る場合も順番は同じで、設計、基準の1枚、顔の差し替え、書き出し、組み込みの5段階です。

  • STEP 1差分表を作る枚数を先に数える
  • STEP 2基準の1枚を決めるキャラを固定する
  • STEP 3顔だけを変える表情ごとに生成
  • STEP 4透過PNGで書き出す同じサイズにそろえる
  • STEP 5エンジンに読ませるパーツで重ねる

AIを使うのはSTEP 2とSTEP 3です。ただしSTEP 3は見た目が変わることがあるため、基準の1枚と見比べて確かめます。STEP 1とSTEP 4とSTEP 5はゲーム側の都合で決まる作業で、飛ばすと生成した画像が使えません。STEP 4で用意すべき素材の形は、エンジンによって変わるからです。

立ち絵の生成全般は、次の記事で説明しています。立ち絵の差分だけを掘り下げるのが、この先の内容です。

関連記事ゲーム素材をAIで作る方法【2026年版】立ち絵・ドット絵・BGM・効果音

最初のSTEP 1で数えるのは、差分の枚数です。

差分の枚数は掛け算か足し算かで決まる

差分の枚数は、素材の持ち方で大きく変わります。表情ごとに全身の画像を作る方式では、組み合わせの数がそのまま画像の数になります。パーツを重ねる方式では、種類の合計だけ用意すれば足ります。

Ren’Pyの公式ドキュメントには、衣装が4種類、髪型が4種類、感情が6種類のキャラクターで、組み合わせは96通りになるという例があります。すべてを静止画で作ると、容量も作業時間もかかるとも書かれています。ティラノスクリプトの公式チュートリアルでは、服装3パターン、表情5パターン、髪型5パターンなら、全部を画像にすると75ファイルが必要で、パーツを組み合わせれば13ファイルで済むと説明されています。

差分の枚数を比べた図。Ren'Pyの公式例は衣装4×髪型4×感情6で96通り。ティラノスクリプトの公式例は全部を画像にすると75ファイル、パーツ方式なら13ファイル。本文の設計例では全体差分が96枚、パーツ方式が13枚、表情セット方式が12枚
全体差分は種類を掛けた数、パーツ方式は種類を足した数の画像が必要です

差分表で最初に比べる2つの数字

全体差分方式は「種類を掛けた数」、パーツ方式は「種類を足した数」の画像が必要になります。差分表を作る目的は、最初にこの2つの数字を並べて比べることです。

差分の設計表と枚数の計算例

次の表は、1人のキャラクターに対する差分表の例です。数字は説明用に決めた設計例で、公式の推奨値ではありません。

項目 種類 内容
目 4 開き・閉じ・笑い目・見開き
眉 3 通常・困り・怒り
口 4 閉じ・開き・笑い・への字
服 2 制服・私服
方式 計算 用意する画像 向く場面
全体差分 顔の組み合わせ48×服2 96枚 表情の組み合わせを描き分けたいとき。作る枚数が多く、後から直しにくい
パーツ方式 目4+眉3+口4+服2 13枚(体の基準を除く) 差分を多く出したいとき。画像が軽く、直す箇所も少ない
表情セット方式 表情6×服2 12枚 目パチや口パクを使わない短編。必要な表情だけを完成画像にする

表情セット方式は、使う表情を最初から絞る考え方です。短編のノベルなら、通常・笑顔・怒り・悲しみ・驚きの5種類から始めても足ります。足りない表情は後から追加します。

最初に決めておく5つのこと

  1. 使う表情の一覧シナリオから拾います。台本に出てこない表情は作りません。
  2. 口パクを使うか使う場合は、閉じた状態に加えて、中間と開いた状態の差分を用意します。ティラノスクリプトの公式例では3枚です。
  3. 衣装を変えるか衣装が変わると、顔のパーツと体の位置関係を作り直す場合があります。
  4. 表示サイズ画面の高さに対して立ち絵を何割で見せるかによって、必要な画像の大きさが決まります。
  5. 使うエンジンパーツを重ねられるかどうかで、素材の分け方が変わります。

枚数が決まったら、次の課題は、生成のたびに顔が変わらないようにすることです。

同じキャラクターを保つ3つの方法

AIで差分を作るときの課題は、生成するたびに顔や髪が少しずつ変わることです。これを抑える方法は、大きく画像編集型、参照画像型、LoRAの3つがあります。1人のキャラの差分を数種類作るなら、手間の小さい画像編集型から試します。

同じキャラクターを保つ3つの方法の比較図。画像編集型は基準の1枚を渡して表情だけを変えさせ手間は小さい、参照画像型は基準画像や三面図を複数枚渡し手間は小さい、LoRAは画像を学習用に用意して追加学習し手間は大きい
1人のキャラの差分を数種類作るなら、画像編集型から試します
方法 やり方 手間 向く場面
画像編集型 基準の1枚を渡し、表情だけを変えるよう指示する。範囲を指定する編集もできる 小さい 1人のキャラの差分を数種類作る
参照画像型 基準画像や三面図を複数枚渡して、別のポーズや場面を作らせる 小さい 全身のポーズ違いや、衣装違いを作る
LoRA キャラクターの画像を学習用に用意し、追加学習した重みを使う 大きい 多数の絵を同じキャラで量産する長編

画像編集型と参照画像型は公式に機能がある

OpenAIの画像生成APIのドキュメントでは、画像編集のエンドポイントで、既存画像の編集、ほかの画像を参照した新規生成、画像とマスクによる一部の置き換えができると説明されています。Geminiの画像生成のドキュメントにも、会話形式でマスクを定義して画像の一部だけを編集し、残りはそのままにできるという記述があります。繰り返し直す作業では、マルチターンの会話が勧められています。

参照画像については、Geminiのドキュメントに、Nano Bananaのモデルで最大14枚の参照画像を組み合わせられるという説明があります。Nano Banana 2.1では、1つのワークフローで最大4キャラクターの類似性を扱えるとも書かれています。

ただし、キャラクターの一貫性を保つための画像の枠はモデルごとに違い、Nano Banana 2.1では最大4枚、Gemini 3.1 Flash Lite Imageにはありません。立ち絵では、基準の1枚に加えて、正面・横・後ろの三面図を渡す使い方が考えられます。

生成した差分は基準の1枚と見比べる

OpenAIのドキュメントの制限事項には、再登場するキャラクターの見た目を生成のたびに保つのが難しいことがある、という趣旨の記述があります。保証された機能ではないので、生成した差分は必ず基準の1枚と並べて見比べてください。

LoRAは手間が大きいので選び方に注意する

LoRAは、画像生成モデルに少量の重みを追加して学習させる軽い手法です。Hugging FaceのDiffusersのドキュメントでは、学習が速く、メモリ消費が小さく、重みのファイルが数百MB程度になると説明されています。

一方で、学習用の画像を自分で用意し、学習環境を整える作業が要ります。1人のキャラクターに差分を数枚足すだけなら、画像編集型のほうが早く済みます。LoRAを検討するのは、登場人物が多く、イベント絵も同じ絵柄で大量に作る長編からです。

使う元モデルや学習用画像の権利は、この記事の末尾で案内する著作権の記事も参考に確認しておきます。

方法が決まったら、顔のパーツを切り出して差分素材にします。

表情だけを変えて顔パーツを切り出す手順

パーツ方式で作る場合も、最初の顔の絵はAIに描かせます。流れは、基準の1枚を決め、表情を変えた版を作り、顔の範囲だけを切り出して透過PNGにする作業です。

  1. 基準の1枚を作る正面向きの素立ちで、前髪が目にかからない構図にします。
  2. 表情だけを変えた版を作る基準の画像を渡して、表情ごとに別の依頼で生成します。
  3. 顔のパーツを切り出す目、眉、口を、基準と同じ位置のまま透過PNGにします。

基準の1枚を作る

基準の1枚は、後から差分を重ねやすい形で作ります。正面か、ごくわずかに斜めの素立ちにして、手は顔や服の装飾に重ならない位置に下ろします。前髪が目に大きくかかると、目のパーツを差し替えたときに髪まで切れてしまうので、目元は見える構図にします。

ノベルゲームの立ち絵用の基準画像を作ります。
・人物:(見た目の特徴を文章で貼る)
・構図:正面向き、膝から上、両手は体の横に下ろす
・背景:無地の緑
・条件:前髪は目にかからない。手は顔と服の装飾に重ならない
・画風:アニメ調、線ははっきり、影は2段階
original character design not resembling any existing franchise

表情だけを変えた版を作る

基準の画像を渡して、表情だけを変えるよう頼みます。複数の表情を一度に頼むのは避け、表情ごとに別の依頼にしましょう。Geminiのドキュメントには、編集で保ちたい細部を依頼文の中で具体的に説明するよう案内する記述があります。変えたくない箇所は、文章にして書いておきましょう。

添付した画像と同じ人物、同じ服、同じ構図、同じ画風のまま、表情だけを「笑顔」に変えてください。
髪型、髪の色、服、体の位置、画像の大きさは変えないでください。
背景は同じ無地の緑のままにしてください。

マスクを使える環境では、顔の範囲だけを編集の対象に指定できます。OpenAIのドキュメントには、マスクはモデルへの案内として働くもので、形を厳密には守らないことがあると書かれています。顔の外側の髪や服が変わっていないかは、生成後の確認が欠かせません。

顔のパーツを切り出して重ねる

生成した画像から、目、眉、口を基準の画像と同じ位置で切り出します。切り出しには画像編集ソフトを使います。ポイントは、切り出した後もキャンバスの大きさと位置を基準と同じにすることです。

目だけの画像でも、キャンバスは全身と同じ大きさのまま、目以外を透明にして書き出します。この方法なら、基準の体と髪はすべての差分で同じ絵になります。AIが毎回変えてしまう部分を、差分の素材から外せるのが利点です。

切り出したパーツを書き出すときは、背景の透過とキャンバスの大きさをそろえます。

背景透過とキャンバスの統一

立ち絵は、キャラクター以外が透明なPNGにして使います。差分を重ねる場合は、すべてのファイルが同じ大きさであることも条件になります。ティラノスクリプトの公式チュートリアルは、差分パーツを同一サイズの透過PNGとして重ねると説明しています。

差分パーツを同じ大きさのキャンバスで重ねる図。基準の体と髪、目、眉、口、服の各パーツが、すべて基準と同じ大きさの透過PNGで、重ねると1枚の立ち絵になる。ファイル名はキャラ名、部位、状態の順で、yuko_eye_open.pngのようにアンダースコアでつなぐ
パーツは切り詰めず、基準と同じキャンバスのまま書き出します

透過PNGの作り方

OpenAIの画像生成APIのドキュメントでは、背景を透明にするには、背景に透明を指定し、出力形式をPNGかWebPにするとされています。これは両方のモデルで共通の説明です。

Geminiの画像生成のドキュメントには、透過PNGでの出力についての説明を確認できませんでした。そのため、生成時に「背景は無地の緑」のように単色を指定し、後から背景除去ツールや画像編集ソフトで抜く方法が確実です。吉里吉里のドキュメントには、透明にしたい部分を塗りつぶす色として、真マゼンタや真緑がよく使われると書かれています。立ち絵に使われていない色を選ぶのがコツです。

キャンバスサイズと命名をそろえる

Ren’Pyの公式ドキュメントには、画像は読み込み時に透明な余白が切り詰められるため、自分で切り詰めても、実行時の性能やメモリ上の大きさはおおむね変わらないとあります。つまり、各パーツを小さく切り出す必要はありません。同じ大きさのキャンバスにそろえたまま出力しておけば、位置合わせの計算も要りません。

ファイル名は、キャラ名、部位、状態の順で、アンダースコアでつなぐと整理しやすくなります。Ren’Pyの公式ドキュメントも、画像名の区切りにはアンダースコアを使うよう勧めています。次の例は、公式の例にならった命名です。

yuko_base.png
yuko_eye_open.png
yuko_eye_close.png
yuko_mouth_close.png
yuko_mouth_open.png
yuko_face_smile.png

書き出した素材をスクリプトで確かめる

パーツの数が増えると、1枚だけサイズが違うといった見落としが起きます。次のスクリプトは、Pythonの画像ライブラリPillowを使い、基準の画像とサイズが違うファイルと、左上の画素が透明でないファイルを表示するものです。基準の上に差分を重ねた確認用の一覧画像も出力します。

from pathlib import Path
from PIL import Image

PARTS = Path("chara/yuko")
files = sorted(PARTS.glob("*.png"))
base = Image.open(PARTS / "yuko_base.png").convert("RGBA")

for f in files:
    img = Image.open(f).convert("RGBA")
    if img.size != base.size:
        print("サイズ違い:", f.name, img.size, "基準は", base.size)
    if img.getpixel((0, 0))[3] != 0:
        print("左上が透明でない:", f.name)

faces = [f for f in files if f.name.startswith("yuko_face_")]
sheet = Image.new("RGBA", (base.width * len(faces), base.height), (40, 40, 40, 255))
for i, f in enumerate(faces):
    tile = base.copy()
    tile.alpha_composite(Image.open(f).convert("RGBA"))
    sheet.alpha_composite(tile, (i * base.width, 0))
sheet.save("contact_sheet.png")

フォルダ名とファイル名は、自分の素材に合わせて書き換えます。差分が基準の顔の位置にきちんと乗っているかは、一覧画像を見て確かめます。

ここまでの要点

  • 差分は作る前に枚数を数える。全体差分は掛け算、パーツ方式は足し算
  • 同じキャラを保つ方法は3つ。1人の差分なら画像編集型から試す
  • パーツは基準と同じ大きさのキャンバスで、透過PNGにして書き出す

素材がそろったら、エンジンごとの仕組みに合わせて読み込みます。

ノベルゲームエンジンへの組み込み

素材の用意ができたら、エンジンに読ませます。エンジンごとに、パーツを重ねる仕組みがあるかどうかで、STEP 4の書き出し方が変わります。

ノベルゲームエンジンごとの差分の仕組みの比較図。Ren'Pyはlayeredimageで画像を層にして属性で切り替える、ティラノスクリプトはchara_newとchara_layerとchara_partで切り替える、ティラノビルダーはメニューのキャラクター差分で登録する、吉里吉里2/KAG3はimageタグで前景レイヤーに読み込み前景は標準で3つまで
エンジンごとに、パーツを重ねる仕組みが違います
エンジン 差分の仕組み 用意する素材 注意点
Ren’Py layeredimageで画像を層にして、属性で切り替える 基準と各パーツの透過PNG ファイル名にアンダースコアを使う。autoのグループにすると、規則に合うファイル名が自動で属性になる
ティラノスクリプト chara_newで最背面の画像を定め、chara_layerでパーツを登録し、chara_partで切り替える 同一サイズの透過PNG 最初に登録したパーツが標準になる。退場後も前回の差分が残るので、chara_part_resetで戻す
ティラノビルダー メニューの「プロジェクト」の「キャラクター差分」で登録する ベースと同じサイズの透過PNG 目パチと口パクは、キャラクター差分のコマ設定の画面で設定する。キャラ差分はV3.00以上が必要(公式の解説)
吉里吉里2/KAG3 imageタグで前景レイヤーに画像を読み込む 透過情報を持つPNG 前景レイヤーは標準で3つまで。多くのパーツを重ねるなら、設定を変えるか、完成画像で持つ

ノベルゲーム全体の作り方は、次の記事で説明しています。

関連記事AIでノベルゲーム・RPGを作る方法【2026年版】ツール別の手順とプロンプト

Ren’Pyではlayeredimageを使う

Ren’Pyでは、層にした画像をlayeredimageの文で定義します。公式の例では、基準の画像と、表情のグループを用意し、スクリプトの中で属性を付けて呼び出す形になっています。公式ドキュメントに載っている、ファイル名と定義の例は次のとおりです。

francis_base.png
francis_face_neutral.png
francis_face_angry.png
francis_face_happy.png

layeredimage francis:
    attribute base default
    group face auto:
        attribute neutral default

autoを付けたグループでは、規則に合うファイル名の画像が自動で属性になると説明されています。AIで作った素材も、この命名に合わせておくと、定義を手で書く量が減ります。

ティラノスクリプトでは差分パーツの機能を使う

ティラノスクリプトの差分パーツは、V470_rc4以上で使える機能です。公式のチュートリアルでは、最初に服装・髪型・目・口など、差分にする部品を決めるよう案内しています。パーツを増やしすぎると動作が重くなるので、多ければよいというわけではないという注意もあります。

最背面の画像も切り替えたい場合は、完全に透明なファイルを指定します。これも公式チュートリアルに書かれている方法です。パーツを重ねる方式は、ゲームの容量を小さくでき、動作も軽くなるとされています。

吉里吉里では前景レイヤーの数に気をつける

吉里吉里2/KAG3のドキュメントによると、前景は標準で3つまで重ねて表示できます。カスタマイズすれば、もっと重ねられるとも書かれています。体、顔、口のように3つに収まる分け方にするか、顔まで合成した完成画像を表情ごとに用意するのが、素直な選び方です。

PNGなどのアルファチャネルを持つ画像形式は、その透過情報を使えます。前景レイヤーは標準では非表示なので、visible=trueの指定が必要です。

目パチと口パクに必要な差分

目パチと口パクには、通常の表情差分とは別に、動きの途中を表す画像が要ります。ティラノスクリプトの公式チュートリアルは、目パチ用に開いた状態・中間の状態・閉じた状態の3枚を用意する例を示しています。

動き 用意する画像 補足
目パチ 開いた状態・中間・閉じた状態の3枚 ティラノスクリプトV525、もしくはV600以上が必要(公式の解説)
口パク 閉じた状態・中間・開いた状態の3枚 通常の状態が口を閉じた画像になる

ティラノビルダーの説明でも、口は閉じた状態を通常として設定すると書かれています。口の差分は「閉じ」を基準に、中間と開きを足す形で用意します。

補足

目パチと口パクを使う場合、表情ごとに目と口の組み合わせが増えます。笑顔の目を閉じた版や、怒りの口を開けた版が要るかどうかも、差分表に書き込んでおきます。

差分表の段階で、目パチと口パクを使う表情を絞っておくと、作る画像の数を抑えられます。主要な表情だけで動かし、それ以外は静止にする設計も選べます。

公開前の確認チェックリスト

素材を組み込んだら、次の項目を順に確認します。1つでも外れていると、エンジンで差分を切り替えたときに顔が浮いたり、位置がずれたりします。

確認項目 見るところ
キャンバスの大きさ すべてのパーツが同じ縦横のピクセル数か
透過 背景が透明で、縁に元の背景色が残っていないか。暗い背景と明るい背景の両方で見る
基準との一致 差分を重ねても髪型・服・体の位置が変わらないか
色味 顔の肌色が基準の体とずれていないか。並べて確認する
標準の状態 最初に表示されるパーツが、目を開けて口を閉じた通常の状態か
目と口の閉じた状態 目パチと口パクに使う閉じた画像と中間の画像がそろっているか
命名 キャラ名、部位、状態の順で、区切りがそろっているか
容量 書き出したPNGの合計が、配布先の制限に収まるか
規約と申告 使った生成サービスの規約と、販売先のAI利用の申告に合っているか

生成サービスの商用利用の条件は変わることがあるので、利用するサービスの公式ページで最新の内容を確かめます。規約と申告については、末尾の記事も入口になります。

よくある質問

立ち絵の差分は何種類作ればよいですか

作品によって違うため、台本から必要な表情を拾って決めます。短編なら通常・笑顔・怒り・悲しみ・驚きの5種類から始め、足りない表情を後から足すのが無理のない進め方です。差分表を作って、全体差分とパーツ方式の枚数を比べてから決めてください。

1枚の立ち絵から差分を自動で作れますか

画像編集の機能で、基準の画像を渡して表情を変えるよう頼むことはできます。ただし、OpenAIのドキュメントには、キャラクターの見た目を生成のたびに保つのが難しいことがあると書かれています。出来上がった差分は、基準の画像と見比べて確かめてください。

背景を透明にしたPNGは、どの生成サービスで直接作れますか

OpenAIの画像生成APIは、背景に透明を指定し、出力形式にPNGかWebPを選ぶ方法が公式に説明されています。Geminiのドキュメントでは、透過出力の説明を確認できませんでした。使うサービスの最新の説明を確認し、直接出せない場合は単色背景で生成して抜きます。

パーツ方式と完成画像の差分は、どちらがよいですか

目パチや口パクを使う、衣装が変わる、表情の種類が多いといった場合は、パーツ方式が向いています。短編で表情が数種類なら、完成画像を1枚ずつ用意する方式でも足ります。使うエンジンがパーツの重ねに対応しているかも、判断材料の1つです。

LoRAを使えば差分づくりは楽になりますか

多数の絵を同じキャラクターで作る長編なら、検討する価値があります。学習用の画像の準備と学習環境が要るので、差分が数枚で済む1人のキャラクターなら、画像編集型のほうが早く終わります。

AIで作った立ち絵を販売するゲームに使えますか

使う生成サービスの規約と、販売先の規則の両方で決まります。末尾の記事を入口にして、実際に使うサービスの公式ページで確認してください。

まとめ

この記事のまとめ

  • 立ち絵の差分は、作る前に枚数を数える。全体差分は掛け算、パーツ方式は足し算で増える
  • Ren’Pyの公式例では衣装4×髪型4×感情6で96通り。ティラノスクリプトの公式例では、75ファイルがパーツ方式で13ファイルになる
  • 同じキャラクターを保つ方法は、画像編集型、参照画像型、LoRAの3つ。生成のたびに見た目が変わることがあるので、基準の1枚と見比べる
  • パーツは、基準と同じ大きさのキャンバスで、透過PNGにして書き出す。命名はアンダースコアでそろえる
  • OpenAIのAPIは透過出力を公式に説明している。Geminiは確認できなかったので、単色背景から抜く
  • 吉里吉里の前景レイヤーは標準で3つまでなので、パーツの分け方に気をつける
  • 目パチと口パクは、ティラノスクリプトの公式例では開・中間・閉の3枚。対応はティラノスクリプトV525またはV600以上、ティラノビルダーのキャラ差分はV3.00以上

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